がん体験・治療とお金
26歳で大腸がんになった僕が、治療前に知っておきたかったお金の制度
2014年、26歳で大腸がんステージ3bになりました。
手術を受けた後、約半年間の抗がん剤治療を経験しました。
がんになると、治療のことだけでなく、お金のことも考えなければなりません。
「抗がん剤治療って、いくらかかるの?」
今回は、僕が実際に受けた抗がん剤治療の費用と、利用した高額療養費制度について書きたいと思います。
僕が受けた抗がん剤治療は、1クール3週間を8回繰り返すものでした。
使っていた薬は2種類です。
・アバスチン:3週間に1回、点滴
・ゼローダ:2週間服用して、1週間休薬
この治療を約半年間続けました。
抗がん剤の費用はいくらだったのか?
当時、僕が把握していた薬の費用は、
・アバスチンの点滴:1回約42万円
・ゼローダの飲み薬:1日約6,000円
でした。
※2014年当時に僕が把握していた薬剤費の目安です。現在の薬価とは異なります。また、実際に窓口で支払った金額ではありません。
薬だけでも、かなりの金額になります。
でも、僕がこの金額をすべて自己負担したわけではありません。
ここで利用したのが、高額療養費制度です。
高額療養費制度で、自己負担を抑えられた
僕は会社員で、協会けんぽに加入していました。
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が一定の上限を超えた場合に、超えた金額が支給される制度です。
上限額は、年齢や所得などによって異なります。
2014年当時、僕が該当していた所得区分では、自己負担上限は次の計算式で決まっていました。
80,100円+(総医療費(保険適用分の10割の額)-267,000円)×1%
つまり、上限は一律の金額ではなく、その月の医療費によって変わります。
少しややこしかったのが、病院と薬局でそれぞれ支払いが発生することです。
病院で医療費を支払い、薬局でも薬代を支払う。
ただし、条件を満たせば病院と薬局の医療費を合算でき、自己負担上限を超えた分が後から払い戻されます。
これは、治療前に知っておきたいことのひとつです。
4回目以降は「多数回該当」で負担が軽くなる
もうひとつ、知っておいてよかったのが「多数回該当」という仕組みです。
高額療養費制度には、直近12か月の間に高額療養費の対象となった月が3か月以上ある場合、4回目以降の自己負担上限が引き下げられる仕組みがあります。
僕の場合、2014年当時の多数回該当の上限額は44,400円でした。
半年間の治療を続ける中で、こうした制度は大きな支えになりました。
なお、高額療養費制度は月単位で計算されます。3週間ごとの治療なので、必ず4クール目から適用されるというわけではありません。
医療費以外に確認しておきたい制度
僕は抗がん剤治療中も仕事を続け、給与は通常どおり受け取っていました。
一方で、治療のために仕事を休み、収入が減る人もいます。
そんなときに確認しておきたいのが、傷病手当金です。
会社員など一定の健康保険加入者が、病気やけがの療養で働けず、給与が支払われない場合などに利用できる制度です。
また、年間に支払った医療費によっては、医療費控除の対象になる場合もあります。
僕自身も手術の入院の際には、医療費控除を利用しました。
さらに、民間の医療保険やがん保険に加入している場合は、契約内容に応じて給付金を受け取れることがあります。
治療が始まる前に、お金の制度を知ってほしい
がんと診断されたとき、まず考えるのは病気や治療のことだと思います。
でも、治療にはお金がかかります。
「お金が無かったら治療ができない」と、医師に言われたこともあります。
僕は約半年間の抗がん剤治療を経験し、高額療養費制度を利用しました。
その経験から、治療費については次の2つを分けて考えることが大切だと思っています。
・治療にいくらかかるのか。
・制度や保険を利用した後、実際に自分が負担するのはいくらなのか。
これから治療を受ける人には、ぜひ加入している健康保険の制度を調べてみてほしいと思います。
病院のがん相談支援センターでも、治療費や仕事について相談できます。
病気のことだけでも、考えることはたくさんあります。
そんなときに、お金のことで必要以上に悩まなくて済むように、僕の経験が、制度を知るきっかけになればうれしいです。
制度についての補足
この記事に登場する薬剤費や自己負担上限額は、2014年当時の僕の経験に基づくものです。
高額療養費制度は、その後も見直しが行われています。現在の自己負担上限額や申請方法は、当時と異なる場合があります。
また、高額療養費制度の対象となるのは、原則として公的医療保険が適用される医療費です。差額ベッド代や入院中の食事代など、対象外の費用もあります。